親知らずの虫歯は抜いた方がいい?メリット・デメリットを解説
髪や爪と違って、永久歯は生え変わることがないため、虫歯になってもできれば抜歯せず、治療したいと考える人もいるでしょう。
しかし、虫歯になった親知らずは、口腔内に悪影響を及ぼす可能性があるため、抜いたほうがいい場合があります。
本記事では、虫歯になった親知らずを抜くメリットやデメリットについて解説します。
親知らずは虫歯になりやすい
親知らずとは、前歯から数えて8番目の第三大臼歯のことをいいます。10代後半に入って生え始めることから、親の知らない間に生える歯、という意味で「親知らず」とよばれています。
親知らずの多くは真っ直ぐ生えません。歯肉内に埋もれているか、隣の歯へ向かって斜めに生えることが多いです。
このうち、虫歯になりやすいのは、隣の歯へ向かって斜めに生えた場合です。
ブラッシングがしづらい場所なので、とくに隣の第二大臼歯との隙間にたまった汚れをきれいに落としきれず、虫歯や歯周病になってしまうことがあります。
親知らずを抜く5つのメリット
虫歯になった親知らずは治療した方がいいのでしょうか?それとも抜いたほうがいいのでしょうか?
ここでは、親知らずを抜く5つのメリットを紹介します。
1. 虫歯・歯周病の再発防止
前述のとおり、斜めに生えた親知らずは最も虫歯になりやすいです。仮に治療したとしても虫歯を再発することが多く、場合によっては、隣にある第二大臼歯にまで虫歯が進行してしまう可能性も出てきます。
虫歯や歯周病の再発・進行防止のためにも、虫歯になった親知らずは抜いたほうがいいでしょう。
2. 口臭の予防
親知らずの虫歯や歯周病を治療せず放置していると、口臭を引き起こす原因にもなります。
口臭によって、日常的にストレスを感じる人も多いです。場合によっては、自分の口臭が気になって相手の話に集中できない、人と話すのが怖いなど、対人コミュニケーションの障害となることもあります。
口臭を予防したいのであれば、虫歯の親知らずは抜いたほうがいいでしょう。
3. 嚙み合わせの改善
親知らずは、嚙み合わせにも影響を及ぼします。
親知らずが上下ともに真っ直ぐ生えている場合は、噛み合わせはとくに問題ありません。しかし、上下どちらかの親知らずが生えていない、または斜めに生えているケースは、噛み合わせが悪くなってしまい、頭痛、肩こり、耳鳴りなどを引き起こす原因にもなります。
親知らずの抜歯によって、こうした症状が改善する可能性もあるのです。
4. 歯並びの悪影響を取り除く
斜めに生えた親知らずが隣の歯を圧迫することで、歯並びに影響を及ぼします。歯列矯正を行った人の場合、せっかく治した歯並びが、また悪くなってしまうこともあります。
これから歯列矯正を始める人、もしくは歯列矯正中の人は、親知らずの抜歯を検討したほうがいいでしょう。
5. 智歯周囲炎の予防
智歯周囲炎とは、智歯(親知らず)の生え方の異常により、周辺に深い歯肉溝ができ、炎症を起こす症状です。智歯周囲炎は20代前半までによくみられます。
悪化すると、炎症による腫れや痛みだけでなく、開口障害に発展するケースもあります。智歯周囲炎も、親知らずを抜歯することで予防できます。
親知らずを抜く3つのデメリット
親知らずを抜くと、虫歯の再発防止や口臭の予防につながるなどのメリットがある一方、デメリットもあります。ここでは、親知らずを抜く3つのデメリットと対処法を紹介します。
1. 抜歯後の腫れや痛み
抜歯の際、親知らずの生え方によっては骨を削る場合があります。骨を削ると腫れや痛みが出やすくなるため、注意しましょう。
腫れや痛みは、1週間程度で治まります。しかし、体調が悪かったり、飲酒や喫煙が原因となって、腫れや痛みが増すこともあります。抜歯する前後は体調に気を配り、飲酒や喫煙は控えるようにしましょう。
2. ドライソケットになる可能性
ドライソケットとは、親知らず抜歯後、抜いた穴の骨がむき出しになってしまう状態のことです。歯茎の穴に血が溜まらない、血餅(かさぶた)がはがれたなどのケースで起こることがあります。
抜歯後に痛みが引かずに増すときは、ドライソケットの可能性が考えられます。なるべく早めに歯科医師まで相談しましょう。
また、うがいのし過ぎにより、せっかくできた血餅がはがれることもあります。抜歯後は強くうがいし過ぎないよう注意しましょう。
3. 入れ歯・ブリッジ用の歯が減る
親知らずは、入れ歯やブリッジ治療の土台になる歯として再利用することができます。しかし、親知らずは元々4本しかないため、抜歯することにより、土台として使える歯が減ることになります。
将来的に入れ歯やブリッジの可能性があるときは注意したほうがいいでしょう。
親知らずの虫歯は早めに治療を!
親知らずにできた虫歯は放っておかず、適切に治療しましょう。親知らずはブラッシングが届きづらいこともあり、虫歯になりやすい歯です。虫歯の進行状況や状態によっては、抜いたほうがいい場合があります。
親知らずの生え方や虫歯が気になるときは、かかりつけの歯科医師まで早めに相談しましょう。
この記事の筆者
いのうえまさとし歯科医院
京都の「いのうえまさとし歯科医院」はインプラントを得意とする歯科医院です。20年間で7500件以上の治療実績があり、大手インプラントメーカー2社の公認インストラクターである院長が、あらゆる症例のインプラントのご相談を承ります。
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