予防・メンテナンス
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予防歯科とは
成人の歯は28本です(親知らず含めず)
厚生労働者省の2016年歯科疾患実態調査によると、日本人は55歳以降から少しずつ歯を失い、65~74歳では平均7本以上を、75歳以上では平均12本以上の歯を失っています。
いつまでも自分の歯で食事を摂りたいというのは誰もが望まれる事ではないでしょうか。
そのためには何が必要か、と言う疑問の答えが予防歯科です。
予防歯科とは、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、病気になる前に予防をしていこうという考え方です。
いのうえまさとし歯科医院では以下の理由から予防歯科に力を入れています。
何歳でも食事を楽しんで頂きたい。
失って初めて歯の大切さに気づくとよく言われますが、やはりご自分の歯でしっかり噛める事は心と体の健康とって大切な要素です。
身体全体にも影響するお口の健康を保って頂きたい。
歯周病は心臓血管疾患、脳卒中(脳梗塞)、糖尿病などの病気を悪化させる可能性があることが知られています。歯周病のを予防してお口の健康を保つ事は、全身の様々な病気の予防や治療に役立つことにもなり、健康な生活を送るためにとても大切なことです。
治療したインプラントを長く使って頂きたい。
当院では数多くの患者様のインプラント治療を行っています。
インプラントを長期間、使っていただくためにはインプラント周囲炎の予防が欠かせません。
そこで大切なのがプラークコントロールです。
歯科における2大疾患、虫歯と歯周病の最大の原因がプラーク(歯垢)です。
プラークを放置すると歯石へと変化し、虫歯、歯肉炎、やがて歯周病を引き起こします。
上手なプラークコントロールのポイントは毎日のセルフケアと1年に3~4回の歯科医院でのプロフェッショナルケアをバランス良く続ける事です。
プロフェッショナルケア(PMTC)
当院におけるプロフェッショナルケア、PMTCをご紹介します。
PMTCとはProfessional(専門家による) Mechanical(器械を用いた) Tooth(歯の) Cleaning(清掃)の略称です。
歯ブラシが届きにくい部分やプラークが石灰化してしまった歯石、茶渋などで着色した部分を専用の器械で除去し、全ての歯面の清掃をした後、研磨しツルツルにします。最後はフッ素を塗布して虫歯や歯周病になりにくい環境にします。
《PMTCの流れ》
ステップ1 歯石除去(スケーリング)
歯石は歯ブラシでは取れません。
歯科医院ではハンドスケーラーと超音波スケーラーと言う専用の器具で歯石を剥がしていきます。
【ハンドスケーラー】
【超音波スケーラー】
ステップ2 歯面清掃
歯石をきれいに取り除いた後、歯面の汚れを取ります。
お口の中の状態は患者様によって違いますので、歯の部位や汚れに適したタイプのチップやブラシを使い分けて、歯面の汚れを落としていきます。
【ラバーチップ】
【ラバーカップ】
【ポリッシングブラシ】
ステップ3 フッ素塗布
歯石やバイオフィルム(プラーク)を除去してきれいになった歯面にフッ素を塗布します。
フッ素塗布後、30分間は飲食を控えて下さい。
フッ素塗布による虫歯予防は、1回だけでは効果が得にくいです。3~4ヶ月に1回の定期的なメンテナンスを続けることによって虫歯になりにくい歯になります。
フッ化物歯面塗布は,歯質強化・再石灰化促進作用から虫歯予防に広く用いられています。
最近ではフッ素配合の歯磨き粉も見られますが、歯科医院では歯磨き粉よりも高濃度のフッ化物溶液を使用しています。
フッ素は海水中や魚介類、海藻など自然界の様々な物資に含まれていて、歯科医院での使用において体に害になる事はありません。お子様や妊娠されている方においても、安心して治療を受けて頂けます。
《PMTCの費用》
12,000円
予防を目的とした治療は保険適用になりませんので、自費治療となります。
セルフケア(歯磨き)のポイント
虫歯になりやすいのは、歯と歯の間と奥歯の凸凹のある噛む面です。
鏡を見ながら歯ブラシをあてましょう。
力をかけすぎず、弱い力で小刻みに歯ブラシを動かしましょう。
歯と歯肉の境目に歯ブラシを45度の角度にあてて、細かく振動させましょう。
前歯の裏側は歯ブラシを縦に使って磨きましょう。
歯と歯の間はデンタルフロスを使いましょう。
歯ブラシの毛先が開いてきたら、新しい歯ブラシに交換しましょう。
歯周病の原因となるバイオフィルム
プラーク(歯垢)を放置すると歯周病の原因となる、と言われていますが
プラークの正体は細菌のかたまりです。
プラーク1gの中に1000億を超える様々な細菌がいます。
細菌の中には歯周病菌もいます。
プラークは歯に付着した後、プラークがより暮らしやすい環境作りをします。つまり敵に侵入されないネバネバした塊の中で、仲間=細菌をいっぱい増やし繁殖していくのです。
この塊をバイオフィルムと言います。バイオフィルムの構造は抗菌薬も効きにくく、唾液中の抗菌成分を跳ね返します。口の中ですから水分、栄養がたっぷり存在し、適温と言う細菌にとって都合の良い環境です。
プラーク → バイオフィルム → 歯石
プラークはバイオフィルムになり、さらに固い歯石へと変わります。繁殖した歯周病菌は歯茎を腫らす歯肉炎や、歯を支えている歯槽骨を溶かす歯周病を引き起こします。
歯を虫歯や歯周病から守る為には、毎日のセルフケア(歯磨き)によってプラークやバイオフィルムを除去し、歯石に変化してしまったプラークはプロフェッショナルケアで除去していく必要があります。
フッ素による虫歯予防
私たちの歯の表面では、脱灰と再石灰化と言う現象が繰り返し起きています。
脱灰とは
プラークで繁殖している細菌は糖を発酵させてとして酸を作り出します。酸によって歯のエナメル質からリンやカルシウムなどの歯の成分が溶け出す事を「脱灰」と言います。脱灰が進むと虫歯になります。
再石灰化とは
食後の口の中のpHは酸性に傾いていますが、唾液の緩衝作用で少しずつ元に戻ります。この時、唾液中のリンやカルシウムが歯の表面のエナメル質に戻り、エナメル質の結晶を新しく形成する事を「再石灰化」と言います。
フッ素による虫歯予防効果
私達の歯の表面では毎日、「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されていて、2つのバランスが「脱灰」に偏っていくと虫歯になります。
ここで強い味方になるのが「フッ素」です。
フッ素配合の歯磨き粉を使用したり、歯科医院でフッ素塗布をしてもらうと虫歯予防に効果的です。
フッ素には虫歯を予防する次の3つの効果があります。
(1)脱灰抑制作用
エナメル質中に取り込まれたフッ化物は酸抵抗性を持ち、歯の脱灰作用を抑える効果があります。
(2)再石灰化促進作用
フッ化物が存在する事でエナメル質がリンやカルシウムを取り込みやすくなり、再石灰化を促進します。
(3)細菌の酸を抑制する作用
フッ化物がプラークに侵入すると細菌が酸を発生させる反応を阻害します。酸の発生が抑えられれば脱灰作用の抑制にもなります。
参考文献: 筒井 昭仁, 八木 稔 編
「新フッ化物ではじめるむし歯予防」 医歯薬出版,2011
いのうえまさとし歯科医院へのアクセス
京都市営地下鉄烏丸線「北大路駅」より徒歩20分